「難消化性デキストリン」と「難消化性オリゴ糖」の違い | 無添加のオリゴ糖

難消化性デキストリン 難消化性オリゴ糖 違い

「難消化性デキストリン」と「難消化性オリゴ糖」の違い

「オリゴ糖」とは?

オリゴ糖に関しては他の記事でも説明しているので、ここで詳しく解説はしませんが、ざっくりと説明すると次のようになります。

  • オリゴ糖:単糖類が2〜10個で構成
  • メガロ糖:単糖類が11個以上で構成
  • 多糖:単糖類が100個以上で構成

ここで出てくる「単糖類」は糖質の中でも最小単位になりますが、この単糖類が2種類でで構成されると「二糖類」、3種類であれば「三糖類」となり、これらをまとめて「少糖類」と呼ぶことが多いです。5種類以上だと「多糖類」となりますが、どのくらいまでが少糖類と多糖類の境目なのかはそれぞれの解説によって違いがあるようで明確になっていないようです。

先に紹介した「多糖(単糖類が100個以上で構成)」と重複してしまいますが、この「多糖」や「メガロ糖」という言葉はあまり見かけることがありません。

なお、私達が一番身近で口にする「砂糖(ショ糖)」は単糖類であるブドウ糖と果糖で構成された二糖類になります。

「デキストリン」とは?

「デキストリン」とは基本的に「澱粉」の一種と考えると分かりやすいと思います。

実はデキストリンもいくつか種類に分けることが可能なのですが、その基準となるのは「デキストロース当量(DE)」で、基本的にはブドウ糖(グルコース)のみで構成されるものです。

  • DE = 100 :ブドウ糖の性質
  • 20 < DE :粉飴
  • 10<DE<20 :マルトデキストリン
  • DE < 10 :デキストリン
  • DE = 0 :澱粉の性質

イマイチ分かりにくいかもしれませんが、仮に澱粉がブドウ糖100個で構成されているものだとすれば、デキストリンは大体20〜70個くらい、マルトデキストリンは2〜20個くらいで構成されるものという説明が可能になります。「低分子化デンプン」とか「低分子化マルトデキストリン」といった言い方も可能かもしれません。

ただ、マルトデキストリンもデキストリンもオリゴ糖のように化学構造がイマイチ不明なものが多いため、ブドウ糖が何個結合しているのか分からない部分があります。

なお、「難消化性デキストリン」のDE(デキストロース当量)はマルトデキストリンと同じくらいだとされており、その点を踏まえるともしかしたらオリゴ糖に近いとも言えるかもしれません。

「難消化性」とは?

さて、「難消化性」という言葉が出てくると「胃で消化されない」という意味に解釈されそうな感じになりますが、実際は胃だけでなく、唾液や小腸などあらゆる体内の消化酵素によって分解されず大腸に届く、という意味になります。

例えば、砂糖(ショ糖)はブドウ糖と果糖が結合している二糖類ですが、口に入ると唾液に含まれるアミラーゼや胃液によって分解されることはないのですが、小腸にてブドウ糖と果糖に分解され、更に同じ場所で吸収されます。

ところが、オリゴ糖の場合だと…フラクトオリゴ糖であれば3種類がありますが…そのうちの「」はそのまま分解されることなく、また小腸に吸収されることなく大腸まで行き着き、ビフィズス菌などのエサとなっていくのです(「資化される」とも)。

「難消化性」というのはこういう意味で使われているのですが、「難消化性デキストリン」の場合は通常のデキストリンと異なる性質(酵素分解されないという意味で)を持つものとして区別するために付いた名称だと考えることができそうです(実際の由来に関しては明確な資料が見つからず)。

一方オリゴ糖の場合なのですが、オリゴ糖の種類は実を言うと確認されているだけでも1000種類以上はあるとされており、その中のいくつかはフラクトオリゴ糖やガラクトオリゴ糖などのように大量生産されています。数あるオリゴ糖の中で消化酵素に分解されないものの総称として「難消化性オリゴ糖」という名前があるのですが、実際はあまり定着しておらず、一般的には「オリゴ糖」と呼ばれ、学術論文などでは「難消化性オリゴ糖」と呼ぶことが多いようです。

  • 「難消化性デキストリン」は「デキストリン」と区別するために付いた名称(かも)
  • 「難消化性オリゴ糖」は数あるオリゴ糖の中で機能性を持つものの総称
  • 「難消化性オリゴ糖」は一般名として定着していない

「難消化性オリゴ糖」と「難消化性デキストリン」の機能性に違いはあるか?

難消化性デキストリンは1つしかありませんが、難消化性オリゴ糖はたくさんあります。まずは難消化性デキストリンの機能性を取り上げます。

「難消化性デキストリン」の機能性

難消化性デキストリンの機能性に関しては、国内での主な製造元である松谷工業化学株式会社の公式サイトを参考にしたいと思います。大塚製薬・公式サイトでも解説されていますが、ほぼ同じ感じになっています。

  • 整腸作用
  • 食後血糖の上昇抑制作用
  • 食後中性脂肪の上昇抑制作用
  • 血清脂質の低下作用
  • 体脂肪低減作用
  • ミネラル吸収促進作用

フラクトオリゴ糖の機能性

難消化性オリゴ糖の1つである「フラクトオリゴ糖」の機能性を紹介したいと思います。現在、製造されているフラクトオリゴ糖で最も有名なのは明治の「メイオリゴ」で、その機能性は明治の公式サイトでも確認することが可能です。

  • お腹の調子を整える腸内ビフィズス菌の増加整腸機能
  • 虫歯の原因にならない
  • 免疫の改善
  • 便臭の軽減
  • 低カロリー(難消化性)
  • 血糖値を上げない
  • 脂質代謝の改善
  • ミネラルの吸収促進

他にもガラクトオリゴ糖の製品でヤクルトの「オリゴメイト」がありますが、こちらはメイオリゴほど機能性がたくさん強調されていないようです。

アガロオリゴ糖の機能性

フラクトオリゴ糖と同じくらいに機能性が確認されているものとしてアガロオリゴ糖があります。

アガロオリゴ糖に近いものとして「ネオアガロオリゴ糖」があります。これは論文で「難消化性」であることが示されているのですが、当のアガロオリゴ糖に関しては、タカラバイオ株式会社の公式サイトを確認しても「難消化性」であるという記載はありません。

  • 抗炎症作用
  • 抗関節炎作用
  • 薬剤の副作用抑制効果
  • アトピー性皮膚炎抑制作用
  • 解毒作用
  • 発がん予防作用
  • 美肌作用
  • 腸管保護作用
  • 網膜保護作用

以上がアガロオリゴ糖に関して現在確認されている機能性になります。「難消化性」である点には触れていませんが、腸管保護作用に関する情報を見る限り、「難消化性」であると見て良さそうです。

同じオリゴ糖でもフラクトオリゴ糖とは大きな違いがあることが分かりますが、難消化性デキストリンと比較しても同じです。

「フラクトオリゴ糖」と「難消化性デキストリン」の違い

「ビフィズス菌増加」に関する違いを比較する

ここでは焦点を絞って難消化性オリゴ糖の1つである「フラクトオリゴ糖」と「難消化性デキストリン」との機能性を比較してみたいと思います。特に注目したいのは「整腸作用」における「ビフィズス菌増加」に関わるものです。

「難消化性デキストリン」と「腸内細菌」に関する資料

独立行政法人農畜産業振興機構・公式サイト

“Availability, fermentability, and energy value of resistant maltodextrin: modeling of short-term indirect calorimetric measurements in healthy adults.” Am J Clin Nutr. 2006 Jun;83(6):1321-30.

以上の資料は摂取した難消化性デキストリンがどのくらい腸内細菌(特にビフィズス菌)に利用(資化)されるのかについて言及しています。

「フラクトオリゴ糖」と「腸内細菌」に関する資料

1986年「新しい糖質甘味料フラクトオリゴ糖の生体利用とその用途」『栄養学雑誌 Vol.44 No.6』291-306頁

1987年「フラクトオリゴ糖の工業生産とその利用開発」『日本農芸化学会誌 Vol.61 No.8』915-923頁

こちらはフラクトオリゴ糖に関する総合的な論説になるものなのですが、非常に分かりやすいものとなっています。

比較していて気づくこと

「難消化性デキストリン」は「小腸で約10%が消化・吸収され、約40%は糞便中に排泄、残りの約50%が腸内細菌に利用される」と書かれています。

その一方で「フラクトオリゴ糖」は「腸内細菌に資化される」点が書かれていますが、小腸でどの程度吸収されるか、糞便に排泄されるのかについては明確になっていませんでした。

フラクトオリゴ糖と難消化性デキストリンがビフィズス菌などの腸内細菌に資化されるのは分かるのですが、果たして両者とも同じ過程なのかどうか気になるところです。その点に関しては次の資料が非常にわかりやすかったです。

「発酵性オリゴ糖」と「非発酵性糖質」

2006年「機能性糖質/食物繊維」『化学と生物 Vol.44 No.7』472-480頁

この資料ではフラクトオリゴ糖と難消化性デキストリンの違いについてヒントとなる説明があります。この論文では「発酵性オリゴ糖」と「非発酵性食物繊維」という言葉を使って説明しています。

発酵性糖質は腸内細菌により資化されてSCFAを産生し、蠕動運動の促進や糞便中の菌体量増加を通じて排便や便性の改善に働く。一方、非発酵性糖質は、それ自身が一緒に排泄されて糞便量を増加させる排便の改善が主たる作用となる。

続けて、整腸作用についての違いも次のように指摘しています。

食物繊維が示す整腸作用は、非発酵性糖質それ自体が便と一緒に排泄されて排便量が増える作用が主となる点で、発酵性オリゴ糖類の作用とは異なる。

この論文での解説で興味深いのは難消化性デキストリンを非発酵性糖質と発酵性糖質を併せもつ食物繊維と解説している点にあります。

  • フラクトオリゴ糖は発酵性糖質であり、ビフィズス菌に資化される。
  • 難消化性デキストリンは発酵性・非発酵性の両方を備えているので半分はビフィズス菌に資化されるが、もう半分も排泄される。

難消化性デキストリンと難消化性オリゴ糖の違いを見ていくにあたって、整腸作用における「ビフィズス菌の資化」という点に焦点を絞り、フラクトオリゴ糖との違いを比較してみました。その作用に関してはほぼ同じではありますが、大きな違いがあることも分かりました。

その他・異なる名称で解説しているもの

2005年「難消化吸収性糖質の消化・発酵・吸収ならびに許容量に関する研究」『日本栄養・食糧学会誌 Vol.58 No.6』337-342頁